マズローの欲求段階説2012年07月06日 08:22



(前回に続く)

(2) マズローの欲求段階説

自己実現という言葉は、マズローの「欲求段階説」の中にある。

「自己実現の欲求」は人間の欲求にあるとされる5欲求の中でも最上位に位置するものである。

「自己実現の欲求」を理解するために、他の欲求について簡単に説明する。

まず、5欲求の最下位に位置する欲求は、「生理的欲求」と呼ばれ、「生きていたいという本質的な欲求」である。

この欲求は、「眠りたい」「食べたい」など、人間が生きていく上で、最低限必要な欲求である。

従って、この欲求を満足させるためには、大きなリスクを負うことも恐れない。

例えば、食べるためには金が必要である。

だから、金のためには3K(キツイ、キタナイ、キケン)と言われる仕事でもやるし、罪を犯すこともある。

リスクの存在が、この欲求を満足させる障害とはならない。

人間が生きる以上、この欲求を捨て去ることは難しい。

何故なら、それは即、「死」を意味するからである。

死の恐怖がリスクの存在をゼロにし、リスクの存在が死の恐怖をカバーしていると言える。

この欲求が満足されると、人間は次にその上位にある「安全の欲求」を求めるようになる。

この欲求は「身の安全を守りたい欲求」で、不安定な生活から、安定的な生活を望む欲求である。

危険を承知で求めようとする「本質的な欲求」は、常に死と向かい合わせである。

これは人間にとって、不安定な状態である。

「死」は人間とは切り離せないものであるが、「本質的欲求」が満たされると、表面上は、「死」を意識しない生活を求めるようになる。

「表面上」と言うのは、「死」は人間から絶対になくせるものではないが、それを意識しないということである。

人間は死なない限りは、毎日生きている。

生きていることは死へ、一歩ずつ近づいていることである。

しかし、そう考える人間は少ない。

ほとんど、「死」の意識はなく、ただ「生」を感じているだけである。

人間は死と隣り合わせで生きているのだが、それを意識しないことは安心できる、また安定した生活である。

これは誰もが望む欲求である。

これが、「安全の欲求」である。

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