PI-その32012年08月09日 15:08



(前回の続き)

●知識

営業マンのPIとしての「知識」には、主に、次の二つがある。

ひとつは、「自分の売る商品」に関することであり、もうひとつは「相手のこと」に関することである。

「自分を売る商品」に関する知識とは、営業マンである以上、当然のことのように思われる。

しかし、現実はそうではない。

営業マンが売る商品が単品、もしくは小種類の場合はよいが、他品種になってくるとそうはいかない。

特に、新商品に関する知識は非常に乏しい。

某メーカーの営業マンが小売店を訪問した時、TVCMで流している新商品が話題になった。

この商品に関する説明を詳しく聞こうと、小売店経営者はメーカーの営業マンに迫ったが、営業マンはパンフレットを取り出し、手渡すだけだった。

そして、それ以上の説明は何もしなかった。

新商品である以上、小売店や顧客が関心を示すのは分かりきったこと。

それに対処するべき準備をせず、売りに来る営業マンのレベルの低さにただただ驚くばかりである。

この準備不足の営業マンが小売店の経営者に話したことは、納入価格とリベートだけだったと言う。

小売店経営者はメーカーの営業マンをすぐに店から追いだしたそうだ。

「価格を安くするから仕入れろ。」

と言うような営業マンの発想は、今日の時代にはよくありそうな話である。

しかし、安ければ何でもよいと言う時代ではない。

顧客は自分に本当に必要な商品が安いから買うのである。

小売店はそれが分かっているから、「どういう商品なのか。」、「それが本当に顧客に必要なのだろうか。」と考える。

このような小売店経営者の思いに応えるのが、メーカー営業マンの仕事ではないか。

このためには、「自分が売る商品」に関する十分な知識を持つことである。

この例は、メーカーの営業マンのことだが、問屋や小売店の場合でもまったく同様である。

まあ、個人を対象とする営業マンにも同じことが言える。

流通業者はプロなので、商品に関する知識や情報が多くあり、かなり詳しい。

しかし、個人の顧客は表面的な知識や情報しか持っていない。

それだけに、営業マンに聞きたいことは沢山あるのだが、実際には質問する顧客はそれほど多くない。

質問したくても出来ない人達がいる。

だからこそ、営業マンの役割が大変重要である。

顧客のライフスタイルに合う商品の選択、上手な使い方、トラブル時の対応など、きめ細かい情報提供をしなければならない。

そのためには、営業マンは商品に関するあらゆる情報、関連情報などを、熟知しておく必要がある。

その知識を顧客に求められて話すのではなく、営業マン自らが顧客のライフスタイルに合わせて、提供していくのである。

PI-その42012年08月10日 12:37



(前回の続き)

後者の「相手のこと」に関する知識とは少し分かりにくいかも知れないが、次のことである。

営業マンの仕事は、「商品を売ること」。

では、誰に売るのか、これが問題である。

メーカーの営業マンなら問屋や小売店、また直接販売なら個人の顧客である。

問屋や小売店の営業マンにも、対象となる顧客がいる。

この顧客のことを考えた商売をすることが大切なのである。

考えると言うのは、ただ商品が顧客に合っていると言うことだけではなく、この商品を購入することによって、顧客の質が高まるかどうかが大事である。

また、「顧客がいて営業マンの存在がある。」と言う認識に立てば、顧客の存在そのものを維持・成長できるようにすることが重要である。

例えば、メーカーの営業マンを例にとれば、営業マンはただ問屋や小売店に商品を売るだけではなく、問屋や小売店の売上や利益が増加するように支援していくことである。

小売店支援はリテール・サポートと言われ、一部の企業で行っているが、これを営業マンレベルで日常的に行うのである。

小売店の経営、店舗、品揃え、販売促進、接客サービスなどに関して、営業マンがアドバイスをする。

これが営業マンへの信頼度を高めることになる。

PI-その52012年08月11日 23:35



(前回の続き)

●サービス

営業マンが持つべき「サービス」とは、「相手の苦労を和らげること」を目的とした「時間と手間の提供」である。

これは、営業マンが顧客の苦労を代わりに引き受けると言う意味である。

と言っても、借金の肩代わりをしようと言うのではない。

相手が望んでいる情報、欲しい情報を提供することである。

これが何故、時間と手間の提供につながるのか。

それは、顧客がそれらの情報を得るための時間と手間を、ゼロにすることができるからである。

ということは、いくら営業マンが努力して得た情報であっても、顧客が手間暇かけずに得られる情報なら、あまり喜ばれないだろう。

顧客が自分で情報を得ようとした時に、時間と手間がかかればかかる程、その情報は大きな価値を持つ。

このことを十分理解して、サービスを提供することが大切である。

最後の2項目は、「コンサルティング・セールス」と言われるものである。

この基本概念は相手の「あるべき姿」を認識し、それと現状とを比較し、そのギャップを埋めることである。

これが、これからの営業マンのあり方になる。

PI戦略における「知識・サービス」とはこのことであり、今後、重要となるファクターである。

以上が、PIの構成要素である。

これらの要素を可能な限り、高レベルにすることが求められる。

その上で、営業マンが自分自身を積極的に売ることである。

これが成功する営業マンのあり方と言える。

戦略的営業マンのススメ2012年08月14日 08:15



(前回の続き)

1 戦略的営業マンのススメ

これからの営業マンは「商品」・「サービス」・「情報」を売るだけではいけない。

相手のことを十分理解し、「相手のため」になる販売を行うことである。

営業マンは「商品を売る」のが商売である。

売らなければならない義務感、例えばノルマや生活の維持などのプレッシャーが、営業マン自身の利益を追求した販売を行わせることになる。

多くの営業マンはそのことをあまり意識していない。

「俺は違うぞ」

と、反対の声を上げる営業マンが多いだろう。

しかし、その心底を探ると、相手のため、顧客のためと言うよりも、自分自身のために販売していることが分かる。

例えば、こんな事はないだろうか。

訪問販売している営業マンの場合、歩き疲れて、成績が良くない状況の時には、必要ないと分かっていながらも、一個余分に販売したりしないだろうか。

心の中で、「この商品を買っても、あなたには無駄だ。」

と思いながらも、その客に勧めている自分を見たことはないか。

新商品の販売がもうすぐだと言う時に、顧客が嫌な思いをすることは分かっているのに、旧商品を勧めたことはないか。

これは小売店の店頭にいる販売員にも言えることである。

小売店対象の営業マンの場合には、月末や決算の締め切り時に、無理やり押し込み販売をしたり、小売店経営者に泣きついたことはないか。

営業マンなら少なからず、一度や二度の心当たりはあるだろう。

これらの行為は本当に、「相手のため」になるのだろうか。

営業マンの仕事が商品を販売し、「自分さえよければ」と考えるのなら、こういうやり方はあるだろう。

しかし、自分の生活のため、ノルマのためとは言っても、相手を利用するようなやり方が本当によいことなのだろうか。

この点を考えて欲しいと思っている。

会社人間と人間の良心2012年08月17日 17:53



(前回の続き)

営業的に見れば、一時的な売り上げを求めれば、将来の売り上げを失うことなので、このようなやり方は自分のためにはならない。

こういう言葉がある。

「明日の1億円より、今日の5千万」

人間は将来よりも、今、現在の方が重要である。

明日は生きているかどうかも分からないのに、明日のことを期待しても仕方がない。

会社人間なら、こうも言えるだろう。

明日と言っても、明日になったら転勤になるかも知れない。

いや、もっと厳しいことなら、退職させられるかも知れない。

このような状況にいる会社人間が、明日のことを考えて仕事をするはずがない。

「今さえよければ、それでいい。」

と、考えても、至極当然のことである。

だが、「本当にそれでよいのか。」と問われれば、ほとんどの人間は「No」と答えるであろう。

それは人間の良心があるからだ。

この心を大事にしたい。