相手を思いやる心2012年08月19日 20:48



(前回の続き)

人間なら誰しも持っている、「相手を思いやる心」、これを営業活動の基本として、販売を目指したい。

これを実現するためには、営業マンの考え方・あり方を従来のものから一変させなければならない。

これまでの営業マンの考え方では、「相手のことを本当に考えていたら、営業マンは勤まらないよ。」となる。

これが真実の声である。

だからこそ、営業マンの考え方を変えなければ、相手のために販売することはできない。

営業マンとしての考え方やあり方を変革した、これからの営業マンのあるべき姿として、「戦略的営業マン」というものを考える。

戦略的営業マンはこれまでのような自分中心の売り方ではなく、「相手中心の考え方」を持つことである。

このことについては、「戦略的営業マンになるための自己変革」の項で、詳しく説明する。

メーカーや問屋の営業マンは小売店を対象に営業している。

これを例にとって、戦略的営業マンを考える。

業種から業態発想へ2012年08月22日 09:36



(前回の続き)

小売店経営は「業種から業態発想へ」と言われる。

業種とは「何を売るか」であり、業態とは「どのように売るか」と言うことである。

業種は従来の小売店のあり方で、「酒屋」、「靴屋」、「本屋」などのように、販売している商品で、小売店を区分する。

一方、業態は次のように考えることができる。

●「専門店」業態

一般に、「業態」と言われて、一番に思い浮かぶのが、「専門店」業態である。

この業態は小売店が業態化をする場合には、快い響きを持っている。

自店の特徴を打ち出し、高級化することが、「専門店」業態と考えられているので、小売店経営者には満足度の高い転換なのである。

だが、「専門店」業態の考え方は、これとは少し異なっている。

確かに、自店の特徴を打ち出す面はあるし、高級化することもある。

しかし、これは「専門店」業態化の本質ではない。

重要なポイントは「専門店」業態は、消費者に商品の楽しみを教え、理解させることを、経営のバックボーンとしている小売店のことである。

例えば、小売店が商品を販売する際に、多品種の商品を陳列していれば、「専門店」と言うわけではない。

ましてや、単一品種の商品しか取り扱っていないから、専門店であると主張するのは論外である。

専門店化2012年08月23日 16:36



(前回に続く)

業態とは「売り方」である。

どのような売り方をするかによって、業態化が行われるわけだから、専門店業態は専門店としての売り方をしなければならない。

小売店にとって重要なことは、「消費者が商品を楽しんで買っているか。」と言うことである。

「楽しんで買う」とは、どういうことか。

競争が激化している酒販店を例に説明する。

専門店の中に、「地酒専門店」という業態がある。

店内には、100銘柄以上の地酒が並び、愛飲家にはたまらない存在である。

この「地酒専門店」はディスカウンターやスーパーなどと戦っても、決して負けない。

中には、全国を相手に商売している「地酒専門店」がある。

このような店はディスカウンターには存在しない。

なぜ、「地酒専門店」は強いのだろうか。

ひとつには、商品の品揃えの多さである。

普通の酒販店が日本酒50銘柄くらいの品揃えに対して、200から300銘柄を揃えている。

これが消費者の楽しみにつながる。

想像しただけでも楽しいではないか。

いつ行っても、自分の知らない酒が並んでいる。

地酒は地方との深いつながりを持っている。

知らない土地と知らない酒、人間のロマンをかき立てるではないか。

これが消費者の楽しみである。

業態=経営に対する意識変革2012年08月26日 22:44



(前回の続き)

第2の強さは、「消費者の満足」である。

商品はただ「商品」としてあるのではなく、商品を所有することによって、あるいはそれを使用したり、飲食することによって、これまでの自分と違う何かが、生まれるのである。

これを創り出せる小売店が、「専門店」業態と言われるものである。

●消費者に時間・距離・品揃えの便宜性を提供するのは、「CVS(コンビニエンス・ストア)業態である。

●消費者の注文の手間、持ち帰りの手間を省くのは、「御用聞き・配達」業態であり、その典型は「ダイレクト・マーケティング」であり、「通信販売」である。

●消費者に生活場面の多様性を提案するのは、「異業種複合店」業態である。

●消費者の価格志向を満足させるのは、低価格中心の「DS(ディスカウント・ストア)」業態である。

●消費者に伝統・文化を提供しようとするのは、「カルチャー志向」業態である。

このように、業態と言っても多種多様である。

これでは業態を認識することは難しい。

そこで、業態の本質を探ったところ、一つの考え方に行き当たった。

それは、「業態とは経営に対する意識変革である。」という考え方である。

この考え方は「小売店のあり方」を変えるものである。

求められる戦略的営業マン2012年08月27日 18:06



(前回に続く)

小売店は、これまでのように売れるのを待つのではなく、自らが売れる状態を積極的に創り出すことである。

なぜ、業態発想が求められるのか。

それは小売店が低成長時代に入ったからである。

従来のように、売上が右肩上がりで伸びている時代なら、業種発想でも十分やっていけただろう。

しかし、その時代は終わった。

これからは小売店自らが売上を創り、利益を生み出す時代である。

今、小売店は変革をしなければ、生き残ることができない。

このように、変革を求められている小売店を相手に営業するには、従来のような営業マンでは難しく、新しい営業マンが求められている。

それが、「戦略的営業マン」である。

では、戦略的営業マンの存在意義は何か。

それは一言で言えば、

「長期的視点に立ち、成功を確実なものとすること」

と言えよう。

成功とは、

①会社の繁栄

②取引先の繁栄

③自己実現(「営業マン自身の繁栄」と考えることができる)

の3項目である。

戦略的営業マンを定義すれば、次のようになる。

「戦略的営業マンは販売活動を自己実現の場とし、戦略的思考を活動の基本とする。」