沈没サイクル2012年09月03日 08:01



(前回の続き)

例えば、値引きを例にとって説明しよう。

バブル崩壊の影響を受け、取引先(例えば、小売店)の売上が減少する。

取引先は利益を出すために、コスト削減を図る。

そこで、仕入原価を下げようとするだろう。

それは仕入先への値引き要求となる。

これを拒否すれば取引を停止し、ライバル企業と取引することになるかも知れない。

それは営業マンの売上低下につながる。

これを避けるために、この値引き要求を一時的なものとして認めることになる。

しかし、取引先が売上増大の努力をしない限り、経営改善は難しい。

と言うのは、売上の減少には何か原因があるはずであり、その原因を排除することが必要である。

ところが、取引先にはその原因が理解できないので、売上低下はとどまることなく、ますます激しくなる。

そこで、さらに値引き要求が強くなる。

取引先がつぶれるか、取引を停止するまで、これが繰り返される。

最終的には、取引停止となる。

これではまったくメリットはない。

この繰り返しを「Sinking Cycle(沈没サイクル)と言う。

この沈没サイクルに落ち込まないためには、どこかで、この循環を断ち切らなければならない。

それが「コンサルティング・セールス」である。

これを実行し、成功させるには、「戦略的営業マン」になることが必要である。

コンサルティング・セールス2012年09月01日 18:18



(前回の続き)

この時、重要なのが、「コンサルティング・セールス」、言葉を変えれば「提案型セールス」である。


これは取引先の立場になり、長期的視点に立った、戦略的セールスである。

ここに、戦略的営業マンが必要とされる理由がある。

戦略的営業マンは長期的視点に立ち、成功を確実なものとすることが可能である。

ここで、「戦略」と言う言葉について、少し説明をしておきたい。

「戦略とは、攻・守・撤退を決断することであり、最小のインプットで、最大のアウトプットを上げることを目的としている。」

「戦術とは、戦略を決断することであり、実行する具体的テクニックである。」

戦術の一例が、コンサルティング・セールスである。

営業マンの目的は、商品・情報・サービスを売ることである。

そのためには、取引先の信頼を得なければならない。

ところが、取引先の信頼を得るには、攻めるだけではいけない。

時には、「守」、あるいは、「撤退」することが必要である。

常に、長期的視点に立ち、決断することである。

戦略的営業マンの基本概念2012年08月29日 14:28

第39回 「戦略的営業マンの基本概念」(24-8-29)

(前回の続き)

第2章 戦略的営業マンの基本概念

1戦略的営業マンのあるべき姿

自己実現はマズローの「欲求段階説」では最上位に位置する欲求である。

「自己実現の欲求」は「自分の個性を生かし、能力を発揮したいとする欲求」であり、それは相手を満足(取引先の満足)させることにより、「自己の満足」が生まれ、その結果、自己実現が達成されるのである。

満足とは、「利益」、「幸福」のことである。

従来の販売活動はノルマ重視であり、この方法は長くは続かない。

高度成長時代は市場が常に拡大しているので、商品があればいくらでも売れた。

この時代なら、ノルマ重視の販売活動でも続けることが可能であった。

しかし、今日は状況がまったく異なる。

低成長時代なのだ。

一回限りの販売を行うようでは、営業マンの成績は低下するだけだ。

売上の増加を図りたいならば、取引先に信頼されることであり、生き残れる取引先と取引をすることである。

そして、その小売店におけるインストア・シェアを高めることが必要不可欠になる。

そのためには、取引先の絞り込み、いわゆるマーケット・セグメンテーションを行うことである。

それが取引先との永続的関係を維持することになる。

求められる戦略的営業マン2012年08月27日 18:06



(前回に続く)

小売店は、これまでのように売れるのを待つのではなく、自らが売れる状態を積極的に創り出すことである。

なぜ、業態発想が求められるのか。

それは小売店が低成長時代に入ったからである。

従来のように、売上が右肩上がりで伸びている時代なら、業種発想でも十分やっていけただろう。

しかし、その時代は終わった。

これからは小売店自らが売上を創り、利益を生み出す時代である。

今、小売店は変革をしなければ、生き残ることができない。

このように、変革を求められている小売店を相手に営業するには、従来のような営業マンでは難しく、新しい営業マンが求められている。

それが、「戦略的営業マン」である。

では、戦略的営業マンの存在意義は何か。

それは一言で言えば、

「長期的視点に立ち、成功を確実なものとすること」

と言えよう。

成功とは、

①会社の繁栄

②取引先の繁栄

③自己実現(「営業マン自身の繁栄」と考えることができる)

の3項目である。

戦略的営業マンを定義すれば、次のようになる。

「戦略的営業マンは販売活動を自己実現の場とし、戦略的思考を活動の基本とする。」

業態=経営に対する意識変革2012年08月26日 22:44



(前回の続き)

第2の強さは、「消費者の満足」である。

商品はただ「商品」としてあるのではなく、商品を所有することによって、あるいはそれを使用したり、飲食することによって、これまでの自分と違う何かが、生まれるのである。

これを創り出せる小売店が、「専門店」業態と言われるものである。

●消費者に時間・距離・品揃えの便宜性を提供するのは、「CVS(コンビニエンス・ストア)業態である。

●消費者の注文の手間、持ち帰りの手間を省くのは、「御用聞き・配達」業態であり、その典型は「ダイレクト・マーケティング」であり、「通信販売」である。

●消費者に生活場面の多様性を提案するのは、「異業種複合店」業態である。

●消費者の価格志向を満足させるのは、低価格中心の「DS(ディスカウント・ストア)」業態である。

●消費者に伝統・文化を提供しようとするのは、「カルチャー志向」業態である。

このように、業態と言っても多種多様である。

これでは業態を認識することは難しい。

そこで、業態の本質を探ったところ、一つの考え方に行き当たった。

それは、「業態とは経営に対する意識変革である。」という考え方である。

この考え方は「小売店のあり方」を変えるものである。